ES/iPS 等幹細胞の継代における細胞外マトリックスの活用

エキスパート

氏名:開示前


ES 細胞や iPS 細胞の継代培養の際、大多数の人は、細胞外マトリックスの重要性を認識せず、漫然と ECMs や feeder を選択しています。失礼な物言いで申し訳ないのですが、その結果、継代時に於ける増殖し難さや遺伝子発現の shift/diversity と云ったトラブルを抱えることになっています。私の提案は、シンプルです。幹細胞が in vivo で接していた固相環境に近い基底膜環境で培養することです。そうすれば、幹細胞は自ずと、播種された基底膜という固相環境を自分に合うように修正・最適化するので、大方の問題は起きません。基底膜とは、播種した細胞によって自由に書き替えられるマトリックスだからです。 例えるなら、ECMs coat は、不毛の砂漠に種子を播くようなものです。厳格な液肥(培地組成)や生育の管理が求められます。基底膜に播種するとは、沃土に種子を播くようなものです。液肥や生育の厳格さは、前者より遙かに簡素で済みます。 論文を闇雲にフォローして上手く行かないと困っている時は、一度立ち止まって、このこと(適切なマトリックスを選択する)をご検討されては如何でしょうか?

■その他
地域: 茨城県つくば市
役割: プロジェクトリーダー
規模: 国立環境研究所

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氏名:開示前

元々は、大気汚染物質の健康影響を研究する過程で、in vivo を模した精緻な肺胞上皮組織を in vitro で再構築し、生体影響評価に用いようとして、この分野の研究を始めたのがきっかけです。偶々、 de novo で形成された基底膜構造体を備える肺胞上皮組織が構築できたことで、培養肺胞上皮細胞による基底膜の形成に関するサイトカインの支配や間充織細胞の関与について、一連の研究を行いました。更に、ヒトrLN-10/HEK293 細胞を用いることで、上皮組織の一般形、 hLN-511 isoform の基底膜構造体が再現性良く作製できるようになりました。 この基底膜構造体を培養基質 (sBM:synthesized Basement Membrane substratum) に加工する技術を開発し、精緻な人工上皮組織を再構築する素材として使う研究や、未熟な幹細胞から成熟した機能細胞に最終分化させる一連の研究 (→→ functional hepatocyte, islet beta cell, ciliated cell, neuron) を進めました。
 これらの過程で、細胞培養に関する種々のトラブルに遭遇し、一つ一つ解決して現在に至っています。そんな経験が皆さんのトラブルシューティングに役立つことも有るのではと考え、今回登録することにしました。 論文の M&M に記載されたプロトコールに従って実施したつもりでも、上手く行かないのが常です。トラブルを自分で抱え込まず、年寄りの知恵を借りるつもりで、ご相談下さい。


職歴

職歴:開示前


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