支店単位で業績V字回復を達成した実際のエリアマーケティングの進め方とオーナーシップの醸成方法を詳細に解説できます。

エキスパート

氏名:開示前


■具体的な経験の内容
 本社営業戦略部長から兵庫・四国支店長に異動となった(45歳)。四国支店は歴代の支店長が業績の立て直しで苦戦していたところ。営業改革プロジェクトを本社で陣頭指揮して成功に導いた私に、混乱している営業現場でこれまでの経験や能力が通用するのかを試す、絶好の機会が来た。ほかの支店長らは「本社の人では無理だろう」と否定的な見方をするなかでの着任。
 前任者の意見にとらわれないようにし、自分が集めたデータ・エビデンスに立脚し、研究を十分に行ったうえで戦略を立てた。⑴全社員への聞き取りとアンケートで状況診断⑵複雑に絡んだ現場の課題を構造化⑶診断で見つかった課題へどう取り組むか方向性の設定、という手順で進めた。
 導入した打ち手は3つ。①エリアマーケティングの仕組み②支店・営業所の経営に対するオーナーシップの醸成③成功例の共有の仕組み。
①エリアマーケティングの仕組みは、営業改革プロジェクトを率いていたときに、ベンチマーキングした大手製薬企業の優れたやり方に自分のアイデアを加えたもの。
②オーナーシップは当事者意識のことで、会社、支店、営業所の業績を「他人事」とは考えず、自分自身のことのように社員にとらえさせること。
③営業改革の時に成功したFST(Field Support Team)のコンセプトをそのままに、支店内のリソースでもできるようにした。
■実績や成果
 目にみえる成果:
目標達成率では1年目こそ12支店中では下位の方だったが、2年目からは常に3位以内に入るようになった。
目標達成率は1年目は98%、2年目から170億円の目標金額に対して102%以上、4年目には105%を達成し、多くの営業所が全国会議で表彰された。
報酬は営業所長クラスでは約2倍になった。
私の業績評価は支店長のなかでトップになり、その年以降の報酬金額は上司の営業本部長を超えてしまった。
目に見えない効果:
営業所長、MRらに、エリアマーケティングを軸に活動すれば業績は伸びるという戦略思考が芽生えた。
営業本部、マーケティング部の打ち出す営業戦略に兵庫・四国支店の打ち手が応用されるようになった。
コ・プロモーションをしていたN社とE社の支店長は共同販売製品の急速な売り上げアップで大満足し、信頼感が高まった。
流通大手K社、S社の営業責任者らはガラッと態度を変え、2年目から重点品目の中に多くの注力品を入れてプロモーションを強化した。
■そのときの課題と乗り越え方
 5県12営業所でのエリアマーケティングの実行に違いがあり、現場を訪問して営業所長・MRに手取り足取りコーチングするのに時間と労力がとられた。またMRのモチベーションを常に高く保つために、個人面談、同行、キャリアカウンセリングなど様々な方法を試した。
■業界構造に対する知見
 ベンチマークした製薬企業は、専門担当者を新設するなどしてエリアマーケティングに力を入れている。大きな違いは、その大手競合は全社でエリアマーケティングの仕組みを動かしている点。個人やチーム単位でのエリアマーケティング成功例が組織全体の学習になっている。これからエリア包括制に向かって医療制度は進む。ますますエリアマーケティングは重要となっていく。
■関連する論文・ブログ
 エリアマーケティングは日本独特の手法。消費財のエリアマーケティンの論文はあるが、一人の専門家が書いたものだけ。医薬品市場には部分的にしか適用できない。
■お役に立てそうと思うご相談分野
中堅規模の製薬会社、バイオベンチャーの営業本部で、新製品や注力品の売上アップの仕組みを探している方。
エリアマーケティングの基本を営業マネージャーに教えようと計画されている方。
支店長で業績低迷で悩んでいる方。
支店長や営業所長にエリア戦略の面で権限委譲したのはいいが、一向にオーナーシップを発揮しないことに不安を抱いている営業トップの方。

■その他
地域: 兵庫県 香川県 愛媛県 徳島県 高知県の5県
役割: エリアマーケティングを企画し実行したときは兵庫・四国支店長
規模: 兵庫・四国支店はMR数170名、営業所長12名。年間売上目標は180億円で15支店中大阪支店に次ぎ大きな売上目標

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氏名:開示前

青山学院理工学部卒。外資系製薬メーカーにおいて、MRおよびマーケティングを担当後、日本および米国HQで営業戦略、事業戦略、事業開発、人事部統括など一貫して経営と連動した施策をリード。グローバルHQと連動し、マッキンゼーとボストンコンサルティングを活用し、大掛かりな組織改革、人材育成制度の設計、運用も複数手掛ける。
医薬営業に特化した営業アウトソーシング企業で、事業統括を担当。5年で200億円以上の受注活動を実現。
現在、スポットコンサルタントとして個別コンサルティングに対応。医薬品産業専門誌で連載中。
慶應義塾大学大学MBA、ハーバードビジネススクールリーダー開発コース修了、青山学院大学博士前期課程修了(認知心理学)。キャリアカウンセラー・産業カウンセラー資格保有。


職歴

スポットコンサルティング未来能力

  • 代表 2013/9 - 現在

IQVIA(元クインタイルズトランスナショナルジャパン)

  • 統括部長 2007/9 - 2012/12

ファイザー製薬

  • 営業統括部長 2005/1 - 2007/8

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