仕事の生産性をいかに向上させるかというノウハウについて話せます
■背景
どこの会社でも社員は「忙しい」のが当たり前です。しかし、本当に「忙しい」のか、単に「混乱しているだけ」なのか、ということを考えなければなりません。その視点でよくみると、「本当に忙しい人」より「混乱しているだけの人」が多いということがわかります。30年以上もコンサルタントをしておりますと、オフィスや工場の整理整頓状況、トイレの掃除、ガラス窓の汚れなどから、「忙しい人」より「混乱している人」の方が多いことがわかります。
「混乱している人」の多い会社は、だいたい「混乱している会社」で、そのような会社の決算書(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)等については私はほとんど信頼しません。どこの会社でも「棚卸」をしますが、それがきちんと行われているのかどうか、倉庫の中やサービス工場の中を見ればそのことがすぐにわかります。
商事会社の利益計算は次のように行われます。まず売上を計算しますが、次に売上原価を計算し、これを売上高から差し引けば売上総利益がでます。
売上原価=期首棚卸高+当期仕入高-期末棚卸高 売上総利益=売上高-売上原価
という計算式ですが、社員がやたらと「忙しがっている会社」や「整理整頓ができていない会社」は、「棚卸」がアバウトで、減耗損などという概念がなく、ただ数を数えてそれに仕入単価を掛けただけのものが、「期首棚卸高」「期末棚卸高」になるわけです。製造業では、これに労務費の計算を加えなければなりませんが、おおよそ事情は同じです。
そのような項目で計算された売上原価を売上高から差し引いたところで、正しい利益が算出されるはずはありません。また、貸借対照表に記されている機械・設備等も、メンテナンスがきちんとなされている会社ならば、会計的なルールだけで減価償却費を計上すればよいわけですが、工場によれば、油で汚れきっていたりホコリがたまり放題というものも目にします。そんな設備資産の決算上だけの価額で正当な資産状況が把握できるはずはありません。有能な経営コンサルタントならば、現場をみればすぐにその会社の経営状態が類推できます。
■話せること
「常に忙しがっている人」には、次のような指導をします。
◎自分の抱えている仕事を細かく分解すること。
◎それらを「緊急度」と「重要度」にわけて優先順位をきめさせる。
◎何をいつもまでにどのように行うかセンテンス化(文章化)させる。
◎それを一か月、一週間というスケジュール表の中に落とし込ませ、すぐ仕事に着手させる。
◎当然、突発的な仕事が入ってくるが、それも落ち着いて、いつどのようにやるべきか考えセンテンス化してスケジュール表
の中に入れ込む。
「整理整頓が出来ていない会社の人々」には、次のように、整理整頓の目的・効果について教えます。
◎整理整頓ができていると、会社の中で危険を避けることができる。つまり安全活動ができるということです。
◎整理整頓ができていると、会社の中での動線が確保できるために、人の動きに無駄がなくなり生産性があがる。
◎整理整頓ができていると、会社の財産の維持ができて会社の資産価値を保つことができる。
◎整理整頓ができていると、顧客や金融機関から信頼され、取引を活発に行うことができる。
◎整理整頓ができていると、社員が会社について誇りを持てるようになり、彼らのモチベーションを上げることができる。
「整理整頓ができている会社はきちんとしたセオリーを理解している」
たとえば、営業というものが、どのようなセオリーでなりたっているか、皆が理解し、ひとつ一つの要素を高めようとする。
売上高のセオリーは次の式で表せます。
売上高= 面談顧客数 × 有効面談率 × 購買率 × 平均単価
これが分かっている営業管理者は、上の式の項目の、ひとつ一つの要素を高めるために何をしなければならないか、部下
に理詰めで話ができます。また部下も、それぞれを上げる方法を具体的に考え始めます。
■その他
会社は、多かれ少なかれ、何人かの人によって構成されています。その人数が多いほど、意思の疎通が難しいものです。例えば100人の社員の居る会社では、自然にまかせて会社を経営していると、社長の経営方針を理解している人は上位20人。社長の方針を聴いたような気がするが、自分ではそれを人に説明できない人が60人。社長の方針など何の興味もない人が20人という事になります。これには是非とも手を打つ必要があります。