自動車会社のサーキュラーエコノミーへの取り組み現状と課題について話せます
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■背景
日本では2005年に「自動車リサイクル法」が施行され、施行後わずか数年で95%という高いリサイクル率を達成し、現在では98%に達しているとされています。ただし、このリサイクル率は、リサイクル材の実際の再利用を必ずしも示していません。鉄などの金属は比較的リサイクルが進んでいますが、プラスチックに関しては、主にサーマルリサイクル(燃焼によるエネルギー回収)に依存しており、ケミカルリサイクル(化学分解を活用したリサイクル)は十分に進んでいないのが現状です。
2023年7月に改正されたELV指令では、車両に使用されるプラスチックの少なくとも25%をリサイクル材とすることが義務付けられました。この規制に対応するため、日系自動車メーカー各社は再生プラスチックの採用を進めています。しかし課題として、リサイクル材の使用率向上やコストの削減、品質の安定性確保が挙げられます。
■話せること
■現状と課題
■現状
① 自動車部品の再製造の現状
日本で販売される自動車の約60%が中古車や部品の形で海外に輸出されています。そのため、国内で再製造(リマニュファクチャリング)を行う対象は約40%に限られています。
②車載電池のリユースやリサイクルの現状
1.リユースについて
日産自動車と住友商事が設立したフォーアールエナジー(2010年設立)は、電気自動車「日産リーフ」の使用済み電池を鉄道用非常用電源にリユースする試みを行いました。しかし、リユース可能な電池の確保が難しいことが課題となり、現状は大きな成果には至っていないようです。
2.リサイクルについて
住友金属鉱山、松田産業、日本重化学工業、JX金属、DOWAなどの企業が、リチウムイオン電池のリサイクル技術開発と設備投資を進めています。
■課題
① 法規制の遅れ
2000年に導入されたEUのELV指令に基づき、日本では2005年に自動車リサイクル法が制定されました。この法律により、自動車メーカーは98%のリサイクル率を達成していますが、リサイクル材の使用に関して目標値も実績も管理されていません。
② 回収インフラの課題
使用済みリチウムイオン電池や高機能プラスチックが主に海外に輸出されており、国内でリサイクル用の材料を十分に確保できていません。
③ 技術的な課題
不純物除去技術やリチウムイオン電池からの再生材の回収技術、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)からの再生材回収技術が未成熟である点が課題です。
④ リサイクル材の使用に対する企業側の努力不足
一部トヨタ、ホンダでの取り組みは行われているものの、新材料の方が安価であり、設計業務が複雑になるため、リサイクル材の活用が進んでいないのが現状です。
■その他
課題続き
⑤ 不足するシステムやパートナーシップなどのリソース
・規制対応を支援するコンサルティングや情報共有システムの強化
・リサイクル材の品質を向上させる技術開発とその普及
・国内での回収・リサイクルインフラの強化
・リサイクル材使用を促進するためのインセンティブ設計