企業の構造変革、企業風土の改善(エンゲージメント向上)施策について話せます
■背景
コーポレート担当常務として出向した子会社は、設立されて以来、三菱商事が自らの名義で行う機械関連の輸出入取引の実務を担う業務受託を生業としてきた。昨今、本邦企業の国際競争力低下の中で経営環境が厳しくなり、三菱商事自身も取引を関連会社に移管してきた流れもあり、出向先子会社の自立は大きな課題とされていた。前職の最後に立案した長期的なアクションプランに基づき、目指す姿を社員と共有し、3年×3のアクションプランを提示、社員の意見(年2ラウンド、部長以下全社員を15名前後のグループに分けて懇談会を実施、延べ回数100回以上)も聞きながら、自立を目指し事業構造の変革(取引名義の移管、取引規定と職能体制の整備、業務システムの更新・追加導入等)並びに企業風土の改善を進めた。
■話せること
長年の親会社を単一顧客とする業務受託会社の形態で構築されてきたセクショナリズム、受け身体質は非常に強く、初年度に会社が目指す姿と実現するための長期計画を社員に呈示、その後、人事制度・就業規則・研修プログラムの改定に着手し、3年目頭に、目指してほしい人材像を示し、処遇と働く環境の整備を行ったものの、離職率は上昇、セクショナリズムと受け身体質の改革も思うように進んでいないことも確認され、枠組みの変更のみでは、社員の琴線に触れることが出来ないことを痛感させられた。要因として、厳しいビジネス環境にありながら、その事実を踏まえた将来に向けた施策を打たない経営のあり方、組織を超えて会社の将来を社員が自分事として議論する場が限られていることの2点が考えられ、対応策として、組織を超えて会社の将来を議論する場として中核層と有望人材層を対象とした集合型研修やワーキンググループを組成しての議論を実施、過去の延長線上においては10年後以降に会社は存続しえない旨の経営メッセージを発信するとともに、自立した人材が自律する組織を形成し、所属を超えて個人と組織が協力し合い、ボトムアップで会社を動かしていく組織を目指し、共に学び意見をぶつけ合う場の導入、組織風土改善と社員エンゲージメント向上のモニタリングツールの導入、ボトムアップで上がったアイデアを施策化する組織も新設、また、営業側でも、将来に向けた収益源の開発を担う新規事業開発組織を組成した。対応策を開始し、また、社員へのアナウンスを行って以来の半年間で社員の雰囲気が大きく変わったことを実感している。