M &Aで経営権を譲渡した経営者自身の経験について話せます
■背景
近年M&Aが盛んになってきていますが、中小・零細企業にとってはまだまだ馴染みがなく、自分には関係ないと思っている経営者は少なくありません。自分も1年前まではそうでした。
しかし、M&Aの準備の過程でさまざまな手続きをし、経営権を譲渡したことで、その過程は全ての経営者にとって知っておくべきことであると実感しました。
弊社は明治38年創業の老舗です。高度経済成長までは業績好調でしたが、それ以降は下り坂の一途。寝具という商材、寝具業界の独特な商習慣、同族企業にありがちな指示待ち社員、家と会社が一体化していることのデメリット、そして、人口減少が加速する東北の地方都市という立地などなど、一つとして明るい将来が見出せない中で、自分なりに努力を重ねてきましたが、消耗するばかりでいい結果を出すことができませんでした。
このまま精神的にも体力的にも追い詰められても、何もいいことはありません。廃業を検討し始めた時にM&Aについて知りました。廃業するよりは第三者に事業を承継してもらった方が、社員にとっても家族にとっても良いと思い、譲渡先を探し始めました。
売り上げ3000万、赤字続きの会社を誰が買うか?と思っていましたが、それは自分が決めることではなく相手が決めること、お見合いのようなものだと聞いて、とりあえずは動いてみよう、と軽い気持ちでM &A仲介会社に依頼しました。すると、思いの外会社を買いたい企業や個人が現れ、その中から1社と交渉を進め、合意に至りました。
会社を畳むというのは辛い決断ですが、M&Aは会社を畳む事ではありません。
会社が生き続けるための選択肢の一つとして、M&Aというものがあります。
経営者として、このことをお伝えしたいと思います。
■話せること
M&Aを決意するまで、決意してから交渉相手が決まるまで、交渉相手が決まってから株式譲渡するまで、株式譲渡してからの各種の手続き、自分の立ち位置、など経営者でなければわからない腹のうち、精神状態、判断の仕方について