事業再構築補助金は、すでに支払った費用が補助対象になる可能性について話せます
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■背景
私は中小企業支援機関に勤務し、中小企業向け補助金に対する相談業務や支援業務に携わってきました。
定年と同時に経営コンサルタントとして独立しました。主な活動は、中小企業向けの補助金に対する支援活動を行っています。一番多かったのは、小規模事業者持続化補助金に関するものです。
その後、IT導入補助金や事業再構築補助金が創設され、これらも支援してきました。現在では、事業再構築補助金に関する支援がほとんどです。
事業再構築補助金は制度や手続きが難解で複雑なこと、また手続きはすべて、使いにくいと評判の悪いgBizID(JGrants)というシステムを使った電子申請となっています。
以前は補助金支援といっても指導や助言といった活動が中心でしたが、事業再構築補助金は事業者自身が行うことは困難なことから、申請準備段階における事業計画書ほかの書類作成、補助金申請作業、交付申請作業、実績報告作業、補助金請求手続きなど補助金の入金があるまで完全請負で受託しています。
補助金代行者がするのは、申請や報告の手続きにかかわる書類の作成や手続きの代行であって、補助事業を実施するのは、あくまでも補助金申請者です。何をやりたいのか、費用がどれくらいかかるのか、業者を選定する・交渉する、また補助事業を期限までに完了できるよう管理・監督する必要があります。
事業再構築補助金の支援でこれまでに採択されたものうち、2件が最終の補助金請求段階、4件が実績報告段階まで来ています。ここまでやって、ようやく制度・ルール・書類の作成方法・申請や報告の手続きのやり方・事務局の対応方法などすべての手続きに慣れてきた感じです。
補助金申請段階よりも採択後の手続きの方が、書類の量がかなり多く、手続きも煩雑です。
本来伴走支援すべき認定支援機関は、大半は手続きやgBizIDについては不案内というのが実情です。
■話せること
通常、補助金は採択決定(+交付決定)後に、購入契約(発注)を行ったものしか補助金の対象費としては認められません。
ところが、事業再構築補助金の公募要領には、次のことが書かれています。
※ 補助金の交付決定前であっても、事務局から事前着手の承認を受けた場合、令和3年 12 月 20日以降に購入契約(発注)等を行った事業に要する経費を、特例として補助対象経費とすることができます。
公募要領(第7回)公募期間:令和4年7月1日(金)~令和4年9月30日(金)
つまり、すでに支払った費用が補助対象になる可能性があるということなのです。
なぜこのような措置が取られたかも次のように書かれています。
交付決定前に補助事業を開始された場合は、原則として補助金の交付対象とはなりません。ただし、本事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化による事業活動への影響等も鑑み、早期の事業再構築を図っていただくために必要となる経費について、補助金の交付決定前であっても事務局から事前着手の承認を受けた場合は、令和3年12月20日以降に購入契約(発注)等を行った事業に要する経費も補助対象経費とすることができます。
ただし、この可能性を実現するためには、次の条件を達成する必要があります。
1, 事業再構築補助金の補助対象事業者であること。
2, 支払った費用が、事業再構築ための費用であること。
3, 支払った費用が、事業再構築補助金補助対象経費であること。
4, 事業再構築補助金の申請に応募し、採択されること。
5, 採択後必要な手続きを踏むこと。
この可能性に気付いている人はほとんどいないようで、ネット検索しても事前着手申請のことは出てきますが、この可能性に言及している記事は見当たりません。