農業生産法人の経営から栽培の最適化について話せます
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京都を代表する農業生産法人として、伝統的な京野菜の栽培を中核に据えつつ、経営リスクの分散と安定化を追求する多品種・多角栽培戦略を実践しました。
1.リスクヘッジ型多品種栽培による経営安定化
気候変動や市場価格変動リスクに対応するため、特定の作物に依存しない戦略として、当時約30品目以上の農産物を栽培していました。主要な栽培品目は以下の通りです。
【伝統京野菜】
万願寺甘とう(とうがらし): 1ha
あのみのり(なす): 50a(0.5ha)
その他、京水菜、九条ネギなど、季節ごとに地域の食文化を支える多様な京野菜を生産していました。
【加工用野菜・高付加価値作物】
シシリアンルージュなど加工用トマト: 2ha
加工用トウモロコシ(八列): 3ha
これらは、食品加工業者や外食産業との契約栽培を基本とし、安定した需要と収益を確保しました。加工品としての可能性も視野に入れていました。
【戦略的転作・大規模栽培作物】
べにはるか(さつまいも): 7ha (ブランド芋としての市場投入や加工用としても活用されました)
山田錦・五百万石(酒米): 27ha (地元の酒造メーカーと連携した高品質な酒米を供給しました)
これらの大規模栽培品目により、栽培リスクを分散しつつ、事業規模の拡大と収益の多角化を図りました。
2.自然災害への強靭な事業運営と安定した決算の実現
近年の異常気象にも対応できる、強靭な事業運営体制を確立していました。過去2年連続で台風による大規模な水害により壊滅的な被害を受けながらも、以下の取り組みにより、経営に大きな影響を与えることもなく安定した事業運営と黒字決算を実現しました。
・分散圃場と多様な栽培方法▶地域内での圃場の分散や、ハウス栽培と露地栽培の組み合わせにより、単一の災害による被害を局所化しました。
・リスクマネジメント体制の構築▶農業共済への加入、緊急時の迅速な復旧計画、連携する生産者や加工業者との相互支援体制を構築しました。
・多品目栽培による収益分散効果▶特定の作物が被害を受けても、他の作物の収益でカバーできる体制を確立しました。
・高付加価値加工品・6次産業化への展開▶収穫量に依存しない加工品部門との連携により、生産物の供給が不安定な時期でも安定した収益源を確保しました。
3.地域貢献とブランド力の確立
「天と地と」などの生産者団体との協働生産を通じて、地域農業の振興にも貢献しました。高品質な「京野菜」ブランドを国内外に発信する中核として、その地位を確立しました。