Ecommerce とRetail Mediaについて話せます
■背景
私はこれまで一貫して「マーケティングと営業の融合」を軸にキャリアを築いてきました。約20年に及ぶ実務経験のうち、前半は食品業界にて輸入・営業・商品企画を担い、後半はAmazonおよび現在のitsumo.incで、EC領域におけるデジタル広告とデータドリブンな営業・マーケティングに注力してきました。
Amazonでは約11年にわたり、リテールや広告営業部門に所属。Vendor ManagerからSales Managerまでキャリアを重ね、SuntoryやP&G、Nestléといったグローバルクライアントを担当しました。特に印象的だったのは、日本初のLive Commerceイベント「Amazon Pet Day」の成功や、人事制度構築に関わる「新しい評価制度」プロジェクトのリード。また、自らがBar Raiserとして採用活動にも深く携わり、多くの採用に貢献しました。業務の根底には常にデータ分析があり、広告効果や購買行動の数値を読み解きながら、最適な提案と組織づくりを実践してきました。
2024年からはitsumo.incのVice Presidentとして、セールス・マーケティング・デジタル戦略の全体を統括しています。ここでは「Revenue Recovery」や「iDB(Itsumo Dashboard)」といった新サービスの立ち上げをリードし、単なる売上創出にとどまらず、クライアントとの長期的な関係構築と業務改善にも取り組んでいます。
一貫して感じるのは、「売る力」だけでなく「売れる仕組み」をつくる重要性です。そのために、組織の構造改革やナレッジの標準化、さらにはAIを活用した提案の自動化など、時代の変化に応じたアクションを続けています。キャリアを通じて得た経験をもとに、次世代のマーケティング・セールス人材育成にも力を注いでいきたいと考えています。
■話せること
EcommerceとRetail Mediaは、今まさに「融合」のフェーズを迎えています。これまでは「商品を売る場」と「広告を打つ場」は分断されていましたが、Amazonを筆頭に、ECプラットフォームがそのまま“メディア”としての役割を担う時代が到来しました。検索・閲覧・購買といった行動がデータとして蓄積され、リアルタイムで広告最適化が可能になるこの構造は、企業のマーケティングの在り方を根本から変えつつあります。
Retail Mediaは単に広告配信手段ではありません。ブランド認知やLTVの最大化といった中長期視点での活用が求められており、当社では動画コンテンツ、ライブコマース、生成AIによるパーソナライズ提案など、多角的な施策を展開しています。これらはすべて「データに基づいた顧客体験設計」が前提です。
今後は、中堅・中小企業がいかにしてこの変化に対応できるかが鍵となります。大量の広告予算がなくても、選択と集中、適切な指標設定、ナレッジの型化によって、大手と同等の成果を生むことは十分可能です。ECとRetail Mediaの融合は、業界の構造そのものを変えるインパクトを秘めており、企業の“売り方”が根底から変わるタイミングに私たちは立ち会っていると感じています。