核融合エネルギーに関する工学技術と製作経験、実用化への展望について話せます
¥35,000~
■背景
大学では修士まで核融合炉・核融合エネルギーの設計・解析に関する研究に従事。その後、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構に新卒入社し、ITERと呼ばれる核融合実験炉建設の国際プロジェクトに携わる部署に配属されました。その中で、プラントに使用される超伝導コイルの製作管理、及び実験を行うグループに所属しました。
業務としては、 数百億円規模の全体予算で製作する世界最大の超伝導コイルが、発注先である十数社の重工業メーカーにおいて技術仕様を満足しながら製作されることを監督する、技術折衝及び技術提案の窓口を担当しました。超伝導コイルの運転は、マイナス269℃という極低温下、そしてさらに、地球磁場の20万倍の磁場下という極端な環境で、一般家庭用機器の7万倍という電流を流して行われるため、それらの環境に耐えうるという観点から製作を進める必要がありました。限られた工程の中で、上記使用条件を満足するものを如何にして製作するかということを、フィールドワークによる技術調査・解析プログラム等による計算・研究所の設備を用いた実験の実施により、検討しました。そして、この検討の結果を英語のプレゼンテーションにまとめ、海外の研究者及びメーカーの担当者に発表して共有し、製作手法を決定していきました。実際の製品製作時においては、メーカー工場に出向いて製作現場を確認し、さらに製品製作後の品質保証関連図書のレビューを実施し、製作方法に問題ないことを確認しました。
また、国際プロジェクト型の実験の主担当者となり、世界最大の極低温設備を使用する超伝導コイルサンプル性能確認実験の、サンプル製作契約管理、据付工事契約管理、そして試験結果の解析・評価までを担当しました。
さらに、高圧ガス保安法に定められる保安管理者としての上記の極低温設備の管理業務や、広報活動の一環として小学校等への出張科学実験の授業等で講師を務めました。
■話せること
「背景」で紹介した過去の業務について、次のような事項のエピソードをお話できます。
<国際プロジェクト型の実験の主担当者となり、世界最大の極低温設備を使用して性能確認実験を行う超伝導コイルサンプルの、製作契約管理、及び据付工事契約の管理を担当>
・ 技術折衝及び技術提案の窓口を担当し、メーカーのコイル製作工程を監視・評価し、工程合理化の提案を行いました。
・ 製作に適用されるTIG溶接、電子ビーム溶接プロセスの品質確認のため、液体ヘリウム、液体窒素を用いての-269℃における溶接部強度評価実験を、材料試験機を用いて実施しました。
・ 超伝導コイルが発生する微弱電圧、機械的歪、そしてコイルの極低温環境下における温度上昇を測定するための計測システム設計を担当し、マイナス269℃でも健全に計測を行うことができる回路の設計と、計測素子の取付け施工方法について検討し、メーカーへの指示を行いました。また、実際の計測素子取付け施工作業を、自身でも実施しました。
・ 本実験の共同研究先である米国オークリッジ研究所とフランスに本部を置くITER機構に、本サンプルの製作進捗をテレビ会議で報告しました。
<超伝導コイル用ステンレス構造物の製作管理、技術折衝及び技術提案の窓口>
・ 全長15 m、重さ100トンの、超伝導コイル用の大型ステンレス構造物を、0.1 mmの精度で計測するためのレーザー計測技術に関する調査を担当しました。情報を収集するため、レーザー計測の専門家を訪ね、レーザー計測システムの基礎と、そのデータ解析ツールの使用法について調査しました。その調査結果から、構造物の表面、加工穴、溶接開先等、それぞれの箇所にどのような計測方法及び計測冶具を適用すべきかを検討しました。
・ 上記について、契約先の技術担当者に提示するため、韓国に月1度程度出張し、英語での面着打合せを行いました。
■その他
これまでの核融合・超伝導に関する論文執筆数:
10本 (内、英語国際論文9本、日本語論文1本 すべて査読あり)
受賞歴:
2012年 日本原子力学会フェロー賞受賞日本原子力学会フェロー賞受賞
2016年 アジア国際低温材料学会優良ポスター発表賞受賞
2017年 日本低温工学学会論文賞受賞