鉄道橋梁の保守管理、修繕についてについて話せます

エキスパート

氏名:開示前


■背景
1) 鉄道会社(旧国鉄・建設系統部門)及びその他(鋼構造物製作の橋梁メーカー)の立場で
経験した実績から回答可能と思います。

■話せること
1) 鉄道橋梁の構造種別としては、①RC造(単純・連続コンクリート橋、高架橋)、 ②PC構造物(単純・連続型式)

③鋼構造物(単純・連続型式)、④複合構造物(合成構造)などに大別される。

なお、①木橋、②石橋、③レンガ造り橋などもある。

私の立場としては、③及び④の鋼製構造物に関してのコメントとなる。

2) 背景

①JR系の鉄道土木構造物は、主として建設部門が建設し、設備部門にその財産を引き渡し、
それ以降保守部門が主体となり維持管理しているのが実情である。

②JR系での保守管理は、各鉄工業と云われる各社が各地域・各線区に対して維持管理している。

③鉄道敷地内に入るには、鉄道独特の様々な有資格者でないと入れない仕組みとなっているため、
橋梁メーカーには有資格者が少なく、経験・実績のある担当者は限られているのが実態である。

④そのため現実的な対応としては、ゼネコン・各鉄工業の下請けとして従事している。

⑤例えば、老朽化したバックルプレート桁の補修工事を考えると、調査から設計までのソフト作業、
工事発注業務、工場製作、現場工事までに1年から1年6ケ月間で完了しないと商売にならないと思う。
なお、少なくとも2~3橋梁は実施し、次の調査も継続して受注したいと考える。
(1)調査は、夜間(23時?~4時?)の線路閉鎖時間帯で、実作業時間は約3時間以内で終わる
作業を1サイクルとし、これを何回か繰り返し、補修計画書を作成する。
(2)場所や作業内容は、所謂3K労働(汚い、きつい、危険)作業である。
(3)調査内容は、橋梁メーカーの専門家が現地踏査し、ゼネコンの下請けとして報告書を作成する。
(4)点検調査結果を基に、製作、修繕工事期間を含む総工事費、全体工程表を作成する。
(5)調査だけしても下請けのため、工事を受注出来るかは確約されないのが問題点である。

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氏名:開示前

1) 鉄道会社(旧国鉄・建設系統部門)及びその他(鋼構造物製作の橋梁メーカー)の立場で
経験した実績から回答可能と思います。

なお、私の経験は建設部門が主体ですが、最終的には保守部門にその建設財産を円滑に
引渡すために相反する利害関係を調整・整理し、納得・合意のもとに仕事を進めてきましたので、
その根底にある基本精神は保守関係にも通用すると思います。

鉄道橋梁の保守管理、修繕について

1 背景・目的
鉄道橋梁の設備の老朽化、人材不足による保守管理や修繕に関する課題の有無や課題の内容、課題の深さに
関してインタビューを通じて把握したい

2 鉄道の橋梁の保守や修繕に関する業務構造

1) 鉄道橋梁の構造種別としては、①RC造(単純・連続コンクリート橋、高架橋)、 ②PC構造物(単純・連続型式)

③鋼構造物(単純・連続型式)、④複合構造物(合成構造)などに大別される。

なお、①木橋、②石橋、③レンガ造り橋などもある。

私の立場としては、③及び④の鋼製構造物に関してのコメントとなる。

2) 背景

①JR系の鉄道土木構造物は、主として建設部門が建設し、設備部門にその財産を引き渡し、
それ以降保守部門が主体となり維持管理しているのが実情である。

②JR系での保守管理は、各鉄工業と云われる各社が各地域・各線区に対して維持管理している。

③鉄道敷地内に入るには、鉄道独特の様々な有資格者でないと入れない仕組みとなっているため、
橋梁メーカーには有資格者が少なく、経験・実績のある担当者は限られているのが実態である。

④そのため現実的な対応としては、ゼネコン・各鉄工業の下請けとして従事している。

⑤例えば、老朽化したバックルプレート桁の補修工事を考えると、調査から設計までのソフト作業、
工事発注業務、工場製作、現場工事までに1年から1年6ケ月間で完了しないと商売にならないと思う。
なお、少なくとも2~3橋梁は実施し、次の調査も継続して受注したいと考える。
(1)調査は、夜間(23時?~4時?)の線路閉鎖時間帯で、実作業時間は約3時間以内で終わる
作業を1サイクルとし、これを何回か繰り返し、補修計画書を作成する。
(2)場所や作業内容は、所謂3K労働(汚い、きつい、危険)作業である。
(3)調査内容は、橋梁メーカーの専門家が現地踏査し、ゼネコンの下請けとして報告書を作成する。
(4)点検調査結果を基に、製作、修繕工事期間を含む総工事費、全体工程表を作成する。
(5)調査だけしても下請けのため、工事を受注出来るかは確約されないのが問題点である。

3 鉄道の橋梁に関して、社会的な課題や経営目線での課題
(鉄道会社、保守事業者、ゼネコンなど)

1) 鉄道会社

①JR系(旧国鉄)は従来からの業務の実態・知恵として、各地域・各線区毎に担当範囲として
各鉄工業にその責任・役割を割り振って業務を実施している。
たとえば、事故や災害・大地震等が発生した場合には、各鉄工業が担当している範囲を
まず各社が率先して調査し、当局の土木技術センターに状況を報告していると聞いている。

②これはあくまでも談合とかでは無く、公共交通機関としての責務からであると聞いている。

③発注先は保守事業者(各鉄工業)に殆ど発注され、下請け業者の橋梁メーカーに保守工事を
発注することは皆無である。

④鉄道敷地内に入るには、鉄道独特の様々な規定・規制・仕様等があり有資格者でないと
入れない仕組みとなっており、特殊で特化した領域・分野となっている。

⑤橋梁メーカーには有資格者は少なく、経験・実績のある担当者は限られているのが実態である。
橋梁メーカーの技術者は、道路橋の建設技術者に憧れがあり、鐡道橋梁の人気度は低い。
その理由として道路橋には、1)大規模である、2)型式が絵になる・見栄えが良い 3)世間の
注目度が高い 4)論文の対象になる、5)デザインが注目されいている

⑥現実的な対応としては、ゼネコン・各鉄工業の下請けで従事することになっている。
但し、見積もり競争のため、必ずしも工事を下請けとして受注出来るかの保証は無い。

⑦その結果、橋梁メーカーは直接受注可能な道路橋の受注確保に注視する傾向が強い。

2) 鉄道橋梁のうち、鋼鉄製橋梁の製作・架設に当たっては、日本独特の特殊な背景がある。

①2005年(平成17年)に発覚した鋼製橋梁の建設工事の受注に当たって談合があったとして
公正取引委員会から摘発され、当時47社のうち23社が処分を受けた。
なお、橋梁メーカー47社の内訳は、K会(旧:紅葉会(こうようかい)、先発メーカーの17社加盟)
及びA会(東会(あずまかい)、後発メーカーの30社加盟)である。

②当時の市場としては、年間約3,500億円、約48万トンの市場規模があった。

③その結果、重工業系(IHI、川崎重工業等)の大手企業が鉄道橋梁から完全撤退したため、
それを補うため専業の橋梁メーカーが担い、市場規模が減少する中で現在に至っている。

④2022年(令和4年)の市場規模は、年間約3,000億円、約17万トンと減少し、日本橋梁
建設協会(以下橋建協)加盟の31社で賄っているのが実情です。
なお、この内訳は道路橋が約15万トンであり、鉄道橋梁は僅か約1万トンで圧倒的に
道路橋が主体となっています。

⑤さらに、鉄道橋梁を製作出来る会社は限定されており、橋建協内では10社程度となっている。

⑥JRTT(鉄道運輸機構)発注の西九州新幹線(武雄温泉~長崎:約66km、2020年9月開業)、
北陸新幹線(金沢~敦賀:約125km、2024年3月開業)においても受注した会社は数社に
限定されている。

3) 鋼鉄道橋梁を製作出来る会社が少ない理由

①鋼鉄道橋梁を製作出来る会社の資格として、発注先(JRTT、JR東日本等)の技術仕様書に基づき
JIS規格の溶接工の資格とは別途に、『溶接工の技量試験』を受験し、合格しなければ従事出来ない。
なお、3年毎に再度新メンバーで実施される。

②この『溶接工の技量試験』で最も難しいのは、JRTT・JR東日本が実施するものである。
但し、JRTTはさらに厳しく設計図書に『溶接工の有資格者は、6名以上』と記載している。

③その他のJR会社、私鉄系会社は、JRTTかJR東日本の有資格者を各社の工事監督者が承認すれば、
従事出来ることになっている。

4) 境界領域における材料調達や施工区分の明確化

①軌道工事と上部工(土木)の境界:工事桁用の枕木締結用アンカーボルト

②建築工事と上部工(土木)の境界:自由通路等柱部接合部分(溶接かボルトか)及び材料調達区分

③電気工事と上部工(土木)の境界:電車線用架線の支持部材(溶接かボルトか)及び材料調達区分

④下部工と上部工の境界:下部工天端における落橋ストッパー

5) 橋梁の保守工事の中でも、特に支承の取換えは下部工の橋梁天端部に設置する共通部分の
ため、別途発注の下部工業者との役割分担や施工範囲の事前調整が非常に重要です。
例えば、下部工業者と競合するアンカーボルト削孔の施工区分と施工時期です。
下部工の本体鉄筋と別途発注のアンカーボルトを設置するための施工と費用区分の明確化です。
なお、発注者側は、この部分についてはケースバイケイスで対応しており、コンサルの優劣によります。

6) 落橋防止工は、特に新設の場合は問題点が多い。、
アンカーフレームの設置時期は本体工事の上部工架設時期より最初であり、別途発注の先行工事である
下部工業者との配筋作業と競合となるため事前調整が必要となる。

なお、上部工工事の発注時期が必然的に後時期となるため、即ち、上部工業者が未契約の時は事前に
下部業者と調整出来ない問題点を抱えている。

本橋梁に連結する本体部分は完成後の最後に取り付ける部材のため、工事期間としては存置日数が
付属品としては本工事の工期よりも多い最大の日数となる。

4 鉄道の橋梁で老朽化による課題と、老朽化による保守点検や修繕への影響

5 鉄道の橋梁で人口減少による課題,人口減少による保守点検や修繕への影響

6 鉄道の橋梁で保守点検や修繕へのデジタル活用
(度合い、実用例など)


職歴

職歴:開示前

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