会社の不祥事にかかる内部監査について話せます
■背景
1)システム監査室長に就任して1年後、5万件の顧客情報が流出した事件が発生。証券のシステム部員が顧客情報を持ち出して不法に売却した事件だった。この事案の監査を担当し、システム部門の内部管理態勢の不備が多数検出され、会社としても再発防止のため巨額の投資を強いられた。組織が収益にばかり目を向けて管理態勢を疎かにすると大変な信用失墜となり回復に数年かかるという経験をした。
2)2011年には市場部門でオプション取引にかかる巨額損失が発覚。監査部隊の一員として調べた結果、リスク管理態勢の脆弱さが浮き彫りになった。週英気を追求するあまり、リスク管理態勢が追い付かなかった典型例としてMUFGグループ内でも多くの教訓を得た事案だった。
■話せること
人は弱い。誰からも管理、もしくは監視されていない状況ではつい仕事の手を抜いたり、不正を働いたりする誘惑にかられます。顧客情報を持ち出したシステム部員は、普段から顧客情報システムのエキスパートとして尊敬されていたため、誰も彼の不正を見抜くことができませんでした。巨額損失を発生させたトレーダーは、収益を拡大するため新たな市場を開拓する使命を帯びていたのですが、リスク管理態勢が脆弱だったことから自らが抱える正確なリスク量を把握しきれず最終的に大きな損失を計上する結果となりました。このように、収益に直結しない管理部門の弱さを放置すると結局組織の存立に関わる重大事故につながります。組織は適切な管理態勢を構築し、不正が起こりにくい環境を整えるために内部監査などの中立的な見方、提案が役に立つと考えます。