ビルメンテナンス業界の課題について話せます
ビルメンテナンス業界の今後について
■特色
ビルメンテナンス業は,ビルオーナーが自ら手掛けていた清掃業務を代行する形から始まり,防犯・情報セキュリティのニーズに対応する警備,建物の空調・電力などの設備高度化に対応する設備管理というかたちで業容を広げてきた。
ビルメンテナンス業界は,労働集約型産業でサービス原価に人件費の占める割合が高い。また,サービス面での差別化が図りにくい傾向にあり,景気が悪くなると価格競争が激しくなるなど,収益性が景気に左右される傾向にある 。
清掃業務から始まったビルメンテナンス事業者の他, 設備管理業務を中心に,あるいは警備業務を中心にビルメンテナンス業務を展開している企業もある。また,商業施設・小売施設などにおいてはそれら物件を専門とするビルメンテナンス事業者がある。概ね100億円以上の売上のビルメンテナンス大手は数十社程度で,それ以下の小規模な事業者が業界の大半を占める。全国ビルメンテナンス協会によると,1社当たりの平均売上高は約1億円に留まる。
■課題
近年のビルメンテナンス市場は,新築の頭打ちから既設物件における競合が激しくなっている。これまでは, 新築時の受託物件は半永久的に受注する場合が多くみられたが、不動産の証券化や官公庁物件における随意契約の減少などを背景として,官民問わず定期的に提案型の競争入札を行う物件が増加している。加えて,ビルオーナーである法人の経営そのものが厳しくなる経済環境下では,経費削減策としてビルメンテナンスコストの削減が定着しており,受注価格の低下傾向が続いている。
ビルメンテナンス業界の課題として,長年続いている人材不足も挙げられる。とりわけ若年層,マネジメント層の確保・育成が課題となっている。ビルメンテナンスは現場作業員に高齢者が多く,また,賃金水準も高いとはいえない環境にあることから,慢性的な人材不足が続いている。
■進化するビルメンテナンス
設備保守は中規模以下のビルの遠隔監視,巡回保守により業務の効率化を図った企業が業績を伸ばしている。中規模以下の賃貸オフィスビルを多数受託管理している不動産系ビルメンテナンス会社では,群管理システムを使って巡回保守の効率化を図っている。
清掃・設備管理・警備などの施設の運営管理だけでなく,顧客企業の総務部門で行っている業務の代行を行う FMアウトソーシングに取り組む企業が増えてきている。郵便物や荷物の受発送から自販機運営管理,オフィス資材調達,人材サポートに至る業務支援サービスに関して,業者の選定も含めた最適の提案により,コスト削減と業務の効率化を図ろうというものである。
■岐路に立つ中規模業者
警備業で顕著な規模による二極化はビルメンテナンス業界全般に言えることである。上記のような進化についていけない中規模以下の業者は、専門特化して競争力を維持するか下請に甘んじるか岐路に立たされている。
プロフィール 詳細を見る
職歴
ワイズワークス
- 代表 1997/4 - 現在
株式会社ハウスビルシステム
- 係長 2018/5 - 2020/3
医療法人正和会 新協和病院
- 事務部長 2017/4 - 2017/9
日之出管財株式会社
- 次長 2016/8 - 2017/4
学校法人葵会学園
- 2015/5 - 2015/10
磯病院
- 事務長 2013/6 - 2014/3
医療法人康仁会 西の京病院
- 副部長 2012/4 - 2013/3
城北病院
- 室長 1986/5 - 1996/5
このエキスパートのトピック
-
赤字病院の黒字化について話せます
¥30,000~赤字病院に一般的にみられる特徴は損益分岐点の高さである。外来に非常に収益性の高い分野がある場合を除き 損益分岐点の病床稼働率が90%というようなケースである。この場合、一般病床と医療療養型病床の混合型であることが多い。長期療養型に特化すれば病床稼働率の高位安定は可能だが、地域医療のからみで一般病床を捨てきれない場合は取りうる戦略が限られる。地域におけるドメインの再定義(自院の事業領域を特定化)が必須である。
-
天井のある保険診療から自由診療へのシフトで高収益化を実現について話せます
¥30,000~社会保険関連の財政の逼迫から診療報酬の引き上げは特殊な政治マター以外では望めない。一方、設備更新や人件費の高騰は避けられない状況である。毎年苦しくなっていく病院経営を背景に、自由診療をブルーオーシャンとみてそこに活路を見いだそうとする医療機関が少なくない。しかし、よほど特権化した診療分野でなければ、苦しい戦いが続いている。自院の経営資源の棚卸しにとどまらず、見えていない経営資源の発掘や常識を超えたアライアンスがとりあえずの出発点となる。 小生がかかわった事案に、赤字傾向の小規模老人病院が、形成外科の開設を機会に美容分野への進出で三期連続増収増益を果たしたケースがある。