情報システム機能の適材配置と組織力強化について話せます
¥50,000~■背景 経営トップから情報システム部門に対し、「情報システム部は、ITベンダーとどう違うのか?」とか、「IT組織のミニマム化や外部化の検討をしなさい」など、組織変革の方針が突きつけられるケースも多い。いつこのような要請が下りてきても回答できる”素案”を用意しておくことは必要であろう。情報システム部、情報子会社における企画・システム開発・システム運用保守業務の在り方、経営企画部や事業部門との機能分担、さらにはITベンダーに業務委託する業務と社内で保持すないといけない業務などの根拠を持ったとりまとめは、組織の存在意義の再確認の意味でも重要である。 大手化粧品メーカーの経営企画部・情報システム部での組織提案の経験を出発点に、ITベンダーの立場でのユーザー企業のCIOコンサル、数十名のIT責任者ネットワークにおける忌憚の無い議論、そしてIT戦略コンサル・社外顧問としてのユーザー企業のIT機能の検討支援を通じて、企業独自の組織設計について提言している。 組織設計に正解は存在しない。他社の事例は組織形態の背景や行間に潜む要因を分析しつつ、責任をもって自社なりの問題点と変革方向をとりまとめることが必要である。 組織機能の設定と人材配置は両輪である。今日、この組織機能の面から人材を捉え感じるのは、中間管理職層の人材が育っていないこと。これでは、IT戦略は経営企画部・システム開発は情報システム部など機能の適材配置を計画しても、組織が機能しない。 そういった意味から、組織力強化と人材育成を同時に捉え、①組織目標を設定する、②スキルアップと同時にモチベーションアップを盛り込む、③マネージャー層の合意形成・上司部下の情報共有を進める。このことを意識して、全体像(ロジックツリー)を作り上げる視点が重要だと働きかけている。 特に、モチベーションは、部下以上に管理職から高めていくことが重要であり、やる気の低い管理職に対し、社長や部門長が「1on1ミーティングをやろう!」といっても、「どのような効果があるのか?」と抵抗意見が出てくる。「部下のスキルレベルチェックをしよう」と言っても、「管理職各自の評価が異なるから全体で集計できない」と、出来ない理由を平然と返してくる。組織は器。動かすのは人材である。組織の実行力を高めるには、「機能や制度(何をするか)」と「人材と運用(誰が実行するのか、できるのか)」の両輪の視点が必要である。 ■話せること ○自社に最適な機能の配置の在り方を追求する。 よく他社事例を収集して組織設計を検討するという声を聞く。かつては、IT組織は集権型が分散型かなど論じていたこともある。しかし、重要なことは、組織は戦略に基づき自由に変化させることである。ERPを導入して標準化に振るなら、情報システム部門に人員を集約する。事業の独自性を高めるなら、情報システム部はITガバナンスとセキュリティに徹するなど。他社事例でなく自社の戦略にあわせ、自らの働き場所も変わる覚悟で設計すべきである。 ○全体企画機能を強化しないと、品質向上やコスト最適化ができない。 IT部門の全体企画機能とは、個々のプロジェクトやシステム開発を横串の視点で捉え、最も有効な手法やアーキテクチャなどを開発する、IT投資の事前事後評価のテンプレートを作成し有効な投資につなげるなど、品質向上やコスト最適化の業務である。個々の案件の開発は計画通り推進できたうえで、全体企画機能を明らかにし人員を配置し動かしていくことが重要である。 ○システム企画機能を強化する。 個々のシステム開発の実態を調査すると、システム企画段階での導入後の活用計画が不十分なケースや、本来社内で担う要件定義をITベンダー任せにしているケースが存在する。本来の業務変革のためのシステム導入が、システム開発が目的になってしまうことのないためにも、システム企画機能を定義し、メンバーのレベルと組織としての蓄積を把握し、必要な教育や経験の場づくりが重要である。メンバーの保持レベルが「独力で実行できる」ようになり、初めて組織として機能装備されるわけである。 ○キャリアとスキルチェックは、定期的に全員が同じフォーマットで実施して、組織のスキル蓄積が計れる。 組織機能の実態は、組織機能の配置や定義するだけでなく、実行できるメンバーが存在することで測れるもの。そういった意味で、IT部門ではUISSなどのスキル標準に沿ったメンバーのスキル保有状況の評価を定点的に実施しないといけない。調査項目が多いなどの理由で敬遠されがちであるが、調査項目を絞るなど工夫すべきである。