プラスチック成形、プラスチック成形不良、発泡プラスチック成形について話せます
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プラスチック材料は,粘弾性という弾性的な性質と粘っこい粘性的な性質を有する素材であり,これらの性質は時間並びに温度によっていずれかの挙動あるいは共存する挙動として現れることから取り扱いが困難である.
軽量化と成形の容易性から,プラスチック成形品の使用が進み,高信頼性が要求される箇所にも適用が拡大している.一方で,成形時の不良や成形品の経時的な強度低下や変形が予想もしない事故を引き起こす危険性もあり,成形不良の要因を把握し素材の特性を考慮した強度,変形の長期予測手法の確立が求められている.
プラスチック成形品の強度低下,割れ,経時変形あるいは光学的ひずみ等の不良は,成形時に生ずる残留ひずみ,残留応力に起因するところが大である.プラスチックの残留ひずみ,残留応力は成形過程における流動や不均一な冷却等と素材の結晶化,配向,硬化/固化,および熱収縮さらに力学的挙動の著しい時間および温度依存性等が複雑に影響しあうことにより生ずることから,その取り扱いはかなり困難である.
プラスチックの成形は,射出成形,押出成形,ブロ-成形等の種々の方法で行われるが,いずれの成形方法でも加熱による溶融状態で流動により所定の形状が賦与された後,固化,冷却される.この固化,冷却の段階では,プラスチックは溶融状態から凝固あるいは硬化反応により固化した後,冷却による温度の低下あるいは硬化反応の進行に伴いやわらかいゴム状態から粘弾性そして硬いガラス状態へとその力学的挙動が大きく変化し,同時に凝固,硬化および冷却にともなう収縮を生じ,いわゆる熱粘弾性挙動を示す.そして固化,冷却の段階で外部からの冷却や内部での発熱が大きいとプラスチック内部には温度分布が生じ,場所により力学的挙動に差異を生じることにより,大きな残留ひずみ,残留応力が発生する.
また,近年,資源節約や環境問題が世界規模で重要視されている.資源節約に関しては,廃棄物の再利用並びに再生利用に関する取り組みが国内でも地域レベルで検討されている.また,環境問題としては,オゾン層破壊や地球温暖化を引き起こす有害ガスの使用禁止ならびに規制が強化されている.プラスチックの中に空気を入れたいわゆる発泡プラスチックは,空気を導入することにより材料低減が図れて資源節約に寄与するが,気泡を導入する発泡剤がこれまでオゾン層の破壊を引き起こすクロルフルオロカ-ボン(CFCs;通称フロン)や有機系溶剤が使用され環境問題となっている.
発泡プラスチックは,軽量性,断熱性,緩衝性,浮揚性,そして電気的特性にすぐれているため,断熱材,梱包材料などとして様々な分野で使用されている.発泡成形技術も種々に開発され実用に供している.しかしながら,従来の発泡体は内部に有する空隙により,軽量化等が可能であるが逆にそれが内部欠陥となり,強度の低下を免れないといった欠点を有している.近年,環境に優しい物理的発泡剤を用いて,発泡体の気泡を制御することで,軽量化と共に強度特性やその他諸特性の向上が望める各種発泡体の製造が可能になりつつあり,この種の研究・開発が鋭意行われている.
これらのプラスチック成形品の精度向上や発泡プラスチックの発泡制御は,素材の粘弾性特性を基準とすることで容易に行うことが可能である.しかしながら,プラスチックの粘弾性特性に関する専門書が少ないことから,プラスチック成形品の成形条件の特定や不良対策は未だに試行錯誤あるいは経験に頼って行われているのが現状である.
長年に亘って行って来た研究内容を基に,プラスチック関係に携わる若手技術者を対象に,粘弾性特性の取扱並びに粘弾性特性に基づくプラスチック成形品の不良対策や発泡プラスチックの制御方法について,具体例を多用し詳細に説明ができる.
http://www2.spacelan.ne.jp/~shimbotesu/ をご参照ください.