■背景
【新製品開発に関する課題】
切削工具関連の研究開発をされてきた方は、これまで長年に渡りモノづくりに従事されており、センシングやデータ収集・分析を行った経験が無く、測定データの価値を理解いただく必要があった。また、IoT技術開発に従事されてきた方は、切削加工の経験が無いため、データが持つ潜在価値を引き出すためのデータ分析・システム仕様の具体化が難しい状況であった。
■話せること
【新製品開発における対応】
まず、意識を一つにまとめるために研究開発方針・戦略を設定した。①新機能(センシング機能)を好む顧客像具体化、②製品仕様の具体化及び絞り込み(センサ、通信方式等)の二つをまとめたことは効果が大きく、リソースを集中することができた。次に、製作したプロトタイプを用いて、顧客の実際の製造ラインで測定トライアルを実施するように働き掛けた。顧客の現場で測定したデータで、ハード及びソフトの仕様見直しの提案を行ったことで、開発メンバー内で納得感を共有することができた。また、顧客の信用を得るために、必要機器一式をアタッシュケースに入れたパッケージ化、ソフトウェアの画面デザインも手掛け、新製品の魅力を最大限引き上げることも行った。
《ポイント》
顧客視点に基づいて、専門分野からすると途絶し易いハードウェア及びソフトウェアの在り方を全体俯瞰して企画・設計を行った。見せ方にも拘り抜いて、新製品の価値向上に努めた。
《実績》
・新製品の魅力が伝わり、年5社以上の顧客の製造現場で測定トライアルを実施。
・社内実施の切削工具評価における標準仕様に採用。
・経営層が聴講する社内報告会・見学会で年4回以上で報告者として対応。
・センシングに関する研究開発環境を整備・構築。センシング全般に関する顧客の要望にも対応できるほどの技術力を保有。
・測定データの蓄積・管理のためのデータフォーマットを整備。ビッグデータの分析を見据えた土壌醸成。
・社内のDX製品事例の代表として認知され、社内報に掲載。
・ハードウェア及びソフトウェアに関して合計5件特許出願。
・加工関連の各種展示会で紹介。また、日刊工業新聞に新製品として掲載。